京町家の宿に西陣織襖紙を提供
京都市内のとある京町家の宿にKYOGOの生地を襖紙としてご利用いただきました。
部屋の雰囲気に合わせてゼロからデザインしたオーダーメイドの西陣織襖紙のご要望でした。
襖を入れる棟は平屋造りで天井には大きく力強い梁が渡り、寝室は和室で庭には枯山水が敷かれ、古き良き和の分いが漂っております。
その中で襖の表は入り口から入ってすぐに目に入るので華やかで存在感があるものに、裏は寝室に面しているので派手さはなく落ち着いて優雅なものに、という方針の中で織物をデザインすることになりました。
その結果、日本最古の物語である「竹取物語」をモチーフに、表は金糸をふんだんに使いながら光と奥行を表現した竹藪を、裏は絹糸や銀糸の艶感を活かしながら上品に月に照らされた水面を、西陣織で表現するということで決まりました。
今回は2005mm×840mm程のサイズの襖を4枚並べるとのことでしたので、4枚合わせて2005mm×3360mmの大きな面に1枚絵の織物を表裏両面に使用するという規模の大きいプロジェクトでした。
それだけ大きなサイズの織物を繊細に仕上げていく作業は非常に難しい作業となり、数えきれないほどの回数の見本織りを重ね、幾多の試行錯誤を経てついに完成しました。
表の竹藪は存在感がありつつも品がある光を放ち、部屋に和の高級感を添える一品となりました。
裏は全体を通して白い絹と金糸・銀糸を用い、月、雲・霞、波を幻想的に表現できました。西陣織の繊細な織技法によって銀糸特有のきらめきや絹糸の艶を利用することで、品があって美しい月夜の風景になっています。